最終更新日 2005年09月19日
◆「絵ものがたり散歩道」A
「森のうた」
絵と文 茶原 真佐子
4月25日から5月24日
きみは 森の こえを
聞いたことが ありますか ?
森では いつも
どこかで だれかが はなしてる。
ほら 今も そこで。
ぼくは 『森の子』
いっしょに 森へ 行きませんか ?
たねたちを ふーっと 飛ばすんだ。
くるくる まわる
そよそよ ゆく
ぱんっと はじけるやつ。
みんなを つれて 旅に でるんだ。
ひろい 空を ただよう。
太陽を すきな 木たちも
雨を こぼしたら
にっこり ほほえんでくれる。
雲が むくむく ふくれたら
やがて ましたへ まいおりる。
はっぱに はじかれて
土に やさしく うけとめてもらう。
これは 旅の はじまり。
川に なったり 池に なったり
生きものの からだの 中へ 行くやつもいる。
やがて 海に たどりつき
また 空へ のぼるんだ。
この旅は おわらない。
まんげきょうのような 地球。
おまえが 愛しいから
いつも うえから のぞいてるのさ。
色とりどりの 矢。
ぶつかっては 熱を だし
はねかえっては 色を だす。
すごい速さで はたらいている。
ごろごろ ころがり まぁるくなった。
何千 何万の 時をかけ
形が かわる この からだには
その 歴史が きざまれている。
ぐるぐる がさごそ。
根が 先を のばし
どくどく 水を すっている。
いのちの おわりが きたものは
そこで ひとつに なってゆく。
ずっと そうだった。
ときどき 生きものの
からだの 中を かけめぐる。
けれど だれも みていないし きづかない。
でも みんな わかってる
ひつよう なんだと。
たねに はねを つけた。
もっと 木の実を 食べたくて
歯を じょうぶにした。
もっと うまく かくれたくて
からだを はっぱに 似せた。
生きて ゆくために
みんな いろいろ かんがえている。
とったり あげたり そうやって
みんな にぎやかに くらしてる。
みんな ここで くらしてる。
聞こえたかな ?
こんどは きみも はなして みてよ。
ぼくが ついているから だいじょうぶ。
だって・・・
中に いるんだ。
ほら もう きみの 中にも。
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