最終更新日 2005年09月19日

「絵ものがたり散歩道」@

「そよこ」

絵と文  鈴木 律子

3月25日から4月24日

 
 
おぼろどうふみたいな

おつきさんが

あらしのそらにうかんだ あるよる・・・・

まっかな きのみが

えだにしがみついていました

 
うでがちぎれるおもいで

やっとこさ むかえたあさ・・・

バサバサ ブチ!

そよこは おおきな ひよどりに

ごっくんと

のみこまれてしまいました

 

 
 

 
 
しゅうー

のどをすべって おちたさきは・・・

なんといぶくろのなか !

そこではいろんな

きのみや たねが

ぎゅうぎゅうづめで しゃべっていました

 
「おれは やまのてっぺんだな」

「ぼくは かわやいしのうえだけは

ごめんだね」

「あら わたしは みずうみのそばが

いいわ」

そよこには なんのはなしか

さっぱりわかりません

 

 
 

 
 
どどど !! とつぜんへやがゆれました

すると「おおっ、きたっ、おれはゆくぞー!!」

とさけぶこえが !

ずどーん !

「ああ、うまいところに おちればいいけど・・・」

「みずたまりだけは よけられないからね・・・」

ひそひそごえがきこえます

 
「あの、おちるってなに ?

わたしたべられて

しんじゃったんじゃないの ? 」

そよこはちかくのきのみにききました

「ぼくらは いま ひよどりにのって

たびをしているのさ 

いきたままうんちといっしょに

とびだすんだよ」

 

「うへえっ、うんちと ? くさくないの?」
 

 
 
ついに そよこにも 

たびだつときがきました

「みんな、さよなら !」

ぴゅうーーーぺしゃ☆

 
「うーやっぱりくさかった・・・」

そこはふかふかのつちのうえでした

「わぁ なんてきもちいいんだろ

やった、やったよぅー !!」

「うるさーい !! このちびすけが !」

うえからこえがふってきました

 

「だ、だれ !?」
 

「ええ〜 !?」
 
「おまえのようなやつは

まいとしいくらでもおちてくるが

どうせ めをだしたって

おおきくなれずに

ひょろひょろになっちまうんだ !」

 
そのはる そよこはちいさなめをだしました

けれど まわりが

くらくて  さむくて

いわれたとおりのやせっぽちのきに

なってしまいました

 

 
 

 
 
「ねえまつのきさん、おねがいだから

ちょっとだけえだをずらして わたしにも

ひかりをわけてくれない ? 」

「なんだと ふざけるな !!

ほかの きのことなんか

かまっていられるか !」

 
そのひのゆうがた・・・

にしのそらからまっくろな

あまぐもがやってきました

ざあびゅうばきどかーん !!

かみなりがどんどん

ふってきます

 

 
 

 
 
つぎのひのあさ

おれて

くろこげになった

まつのきを・・・

そよこは ただ

じっとみつめていました

 
「おう・・あのちびすけか・・

どうだ ? はじめてあびる

ひのひかりは・・

わしのうんはもうつきたが

おまえはこれからだ・・・

だにもまけない

おおきなきになるんだぞ・・・」

 

まつのきはそれきりしゃべりませんでした
 

 
 
そよこはだんだんおおきくなり

まいとし

たくさんのみをつけては

ひよどりたちを

えだにとまらせるのでした

 

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